後継者不足の鹿角細工

鹿角細工は、奈良県の伝統工芸品として長く親しまれて参りました。

国の天然記念物に指定されている奈良の鹿ですが、毎年行われる鹿の角切り行事の後、切った角を職人が譲り受けることにより、見事な作品が作られてきました。

和裁のヘラ、箸、帯留、アクセサリー、置物、和菓子の楊枝、キーホルダー、ペーパーナイフ等々の鹿角細工があります。

奈良の鹿

角切りを終えた奈良の鹿。

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和菓子の楊枝にもなる鹿の角

伝統工芸品として名高い鹿角細工ですが、後継者不足の問題は残っているようです。

お箸や帯留などの生活用品よりも、最近では、鹿の角を使った和菓子の楊枝等に新たな需要が生まれています。やはり、実用品のニーズは安定しているということでしょうか。

鹿角細工の作り方は、まず角の形状に合わせて選んだノコギリで大まかな形を整えた後、やすりで磨いて光沢を出します。鹿角細工職人の腕の見せ所は、最初の工程にあります。

材料となる鹿の角を一目見ただけで、どんな作品に仕上げるか判断する。

ここが一番のポイントのようです。お料理と同じで、素材の良さをそのままに生かすということでしょうか。置物に合った角もあれば、和裁のヘラに適した角もあるんでしょうね。

奈良公園の鹿を管理する奈良の鹿愛護会という組織があります。

鹿角細工の職人さんは愛護会に寄付することによって、切った角を譲り受けています。

観光客が捨てたゴミ袋を、誤って食べて命を落とす鹿もいるようです。

奈良公園界隈の道路には、鹿飛び出し注意の標識が見られますが、毎年多くの鹿が車にはねられてしまう現実があります。奈良の鹿愛護会では、このような事態を少しでも減らすべく、日々の努力を続けておられます。

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